エガクのブログ

絵を描く事と、山に登る事と、作業所に通うハンディのある長男と、夫と、東京に居る二男と…

『死なない程度の失敗』

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(七丈小屋からの富士山とオベリスク 雲海)

私は登山歴3年だが、ひととおりの基本のキのレクチャーを受けた後は、この『死なない程度の失敗』の必要性を痛感しています。

ガイドさんに守られての自分のキャパ以上の山域に足を踏み入れたときの感動も大きいですし、
(自分じゃムリ...)と 放りなげていた場所を目指してコツコツと プラン、体づくりから道具からを積み上げ準備してゆく緊張感、高揚感!

実は5月のやーくんのショートステイ分、どこに行こうか 何をしようか間際まで未定でした。
シーズン前でもあるし、(日帰り低山かなぁ)と 固まりかけた矢先、七丈小屋サイトでマグカップ販売とのこと。

見た瞬間に決まりました。「黒戸尾根行こう!」
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(そしてゲット)

宣伝効果あり でしたね(笑)

まずは情報収集ですよ。ここからハイテンション始まってます(笑)
この時期は 刻々とコンディションが変わるエキスパートシーズン。
今回ソロでの山行なので、行き先は七丈小屋まで。と決めて、それでもフル装備。
衣類も暑い場合と寒い場合と ありとあらゆる想定をして。

今回予報は一週間前からその二日間だけ雨マーク。で、近づくにつれて前線通過の完全にびしょびしょに濡れる前提も必要になってきた!
でも必要最低限の『もしも』で重量もおさえたい。七丈小屋までとはいえ標高差1600m、距離約9㎞ありますからね。
(ちなみに黒戸尾根ルート甲斐駒ヶ岳頂上までの標高差は2200m、距離約11㎞。日本三大急登でございます。 ひとことメモでした)

私にとっての黒戸尾根の魅力は植生です。
生活圏の登山口から歩みを進めるほどに植物が住み分けている。もーーそれを確認するだけで大コーフン!

今回は『初』探し!(笑)
『初ラン』
『初笹』
『初高山落葉樹』
『初高山針葉樹』
堪能してきました!

が......

それが今回の『死なない程度の失敗』にも繋がっちゃったんですけどね。それは後述。

さて、テレビでは 種子島トレッキング客孤立救助を大々的に報道。その大雨の前線が関東甲信にもかかると警戒を促す放送。
それを見て夫は「大丈夫なのか?やめたほうがいいと思うがな」と、イエローカード
けれど天気図や気象予報士の解説を聞く限りでは13時には前線通過済み、と みた。

ってことは、洗われた空気で素晴らしい景色が期待できるじゃん!
絶景は荒天の直前直後。雲の作り出す芸術が目に浮かび また大コーフン

なんとか夫をやんわりと説明し、それでも自分にも
(1) 登山道が川のようになって流水があったら引き返す
(2) 刃渡り時点で降雨なら 引き返す

と肝に命じ当日を迎えました。

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(こんな尾白川、見たことない!)

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(ちなみに翌日)

歩き始めもいつもより遅い9時頃とし、出発しました。前半5㎞の樹林帯は傘をさしていたので、レインウエアもほとんど濡らさず行けました。

雨に濡れて苔が美しくて写真撮りまくり!
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それが結果的には『死なない程度の失敗』になってしまったのです。

笹ノ平あたりでほぼ止み 枝の滴を避けるため傘はさしたままで通過。
笹ノ平の看板には『1時間30分』とあるところが2時間20分くらいかけてて 計算していた通過時間は 大幅に超えていて(ヤバイかも...💧)

じゃあ とペースを上げようとするととたんにまたあの『魔の光城山状態』。
心拍が収まらない、そのうち吸気が入ってこないような苦しさがとれないので それまでのペースを上げられない。
足などの痛みや疲れは感じないにも関わらず...です。

そうこうしているうちに刃渡り到着。
そこで七丈小屋におそるおそる電話して 到着が遅くなっても行っても可能か、おそるおそる聞いてみました。

ここで頭ごなしに怒られてたら しょぼんと引き返してましたけど、
「日も長くなったしお気をつけて。」

ああ寛大なお心遣い、ありがとうございます!これはなおさらこれ以上迷惑はかけられないじゃん。
天候は雨も上がり無風快晴。
電話後は 写真撮るのもやめ(あ、( ̄▽ ̄;)、五合目で一枚撮ってしまいました...) ヘルメットにライト装着。そしたらエンジンかかりました! が...💧
小屋まであと100m、もう核心部はないのにエンスト。。。ゼェゼェヒューヒュー...

七丈小屋、6時到着。本当すみませんでした。OKしてくれて、待っててくれてありがとう~!!

『死なない程度の失敗』
その他にもオンパレードでした。

ストックのキャップしたまま雪氷面刺したらツルッ!重量かけてなくてセーフ💦

あとは休憩の取り方にも課題があったんじゃないかな~リカバーのチャンスがあったかなかったか...ここは再検証です。

小屋には先行の3人さんと小屋番さん二人、
「山の世界も狭いからね~」なんて言いながら、面識もないのにいきなり「丸岡さんですよね?」と声かけて 怖がられてしまいました💦
そりゃ恐いわよねえ(笑)
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出来上がってきたヅメさんの 面白いこと面白いこと!(笑)

いつも小屋では夕食後消灯までの時間が手持ちぶさただったのに、今回はあっという間でした。

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翌朝、期待通りの雲海。

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実は私、七丈小屋4回目なんです。
なので今まで7回通過してきた 岩にステップ刻んである部分、すくんでしまって足が下ろせなくなって、しばらく立ち尽くしてしまったんです。

恐怖感が全ての経験技術をワヤにしてしまう、そして恐怖感が体を硬直させ 判断を狂わせる、、、
そんな『死なない程度の失敗』もしました。

少し深呼吸したり、考えをまとめたところ、利き脚に変えたところで下りられました。
本来は両足が軸足になり得ないとダメですよね。これも下山後の課題と言うことで。

こんな状態にたっぷり時間をとれる、リカバリーの過程を自分で見つけだす、ソロならではです。

他にもバランス崩してとっさにロープを握ったとか。そこは仮に落ちてもテラス部分で尻餅程度でしたけど。それも下り方に問題はなかったか…『死なない程度の失敗』。

下山は5月の新緑の芽吹きに老眼ヒーリング(笑)
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(私が名づけた『オームの化石3匹分』)

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ただ、硬い冬靴の中で足が動き あと数キロの時点で爪が痛くて何度も立ち止まってしまいました。
これは昨シーズン薄手のインナーソックスで解決済み!だったのに、あのソックスが見あたらなくて、シーズンまたいだらあの痛みをすっかり忘れてて💦
それも『死なない程度の失敗』です。

本当に良い勉強させてもらえました!
黒戸尾根さん、
関わってくれた皆さん、
本当にありがとうございました!!
ペコリ_(..)_