七月の常念岳 前編
月一回のやーくんのショートステイが、6月から再開しました。
7月のショートステイ、
実は小屋泊の計画を立てていました。
ですが連日の雨予報、
さすがの夫も「晴れの時に心おきなく行ったらどうだ?」と、
感情的にならず いつになく冷静に説得して来て、ちょっと動揺したのです。
そんなところの同時期に
Facebookのグループページに、奥さまを山で亡くされた方の投稿の
最後の一文にも「せっかくの休み、水がアクティブな時は行き急がないで」
なんだか帰宅を待つ家族の想いに負けたというのか、、でも!
自分の心の中にも 雨で難易度上がるリスキーさに うっすら気づいていたんだと思います。
前日にキャンセルをしたのでした。
その小屋に予約の電話をしたときのことです。
「それではお名前を」と聞かれて なんの説明などもせず「五味美穂です」と答えたところ、「あ!五味さん?」との うれしい反応。
その小屋番さんに実際にお会いしたのは一年前の一回だけで、楽しくお話しさせていただいた事を 声と名前だけで覚えてくれてた! だって、小屋番さんってお客がひっきりなしに来るでしょう?そんな中で…
え?そんな強烈なことしましたっけ?(笑)
そんな心地よいワタシの居場所に、行くのをゆびおり数えて楽しみにしていたんですけどね〜
小屋をキャンセルした当日、雨ではなく なんと穏やかな曇り。その日は依頼の絵を仕上げることに夢中で、あっという間に1日が過ぎました。
そんな過ごし方を夫も見ていて、日帰り登山を持ち出したところ、いつものような抵抗もなくどうぞと決まったのでした。
その絵を通して自分の持ち味で突き進もうではないか、時流に乗ってないけど、逆に強みに思えばいい…と、
気持ちがシフト出来ました。
そしたところが、通信販売第一号のお買い上げメールが!
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うれしいことが続き、気持ちが上がっています。
それも我を無理強いしなかった 天からのご褒美のような気もしています。
夫の朝ごはんと犬のスイの食材料を作り、置き手紙を書いて出発。三股には5時過ぎ到着。
雨の中傘をさして 6時に歩き始めました。
するとゲートのいちばん際に止めてあった車から人が降りて来て私に話しかけて来ました。
遭対協のスタッフさんでした。
体温を測らせてくれとのこと、それはOK、どちらへ行きますか?の質問に 三股から常念岳です と答えると、それは難易度高いルートですね、と。続けて「小屋は予約してありますか?」
「いえ、日帰りです。」
「それはさらに難易度上がりますね。ビバークの用意はありますか?」
「え。。ツェルトとかですか? いえ、、ないです。。」
「今こういう時で すぐ救助に向かえない時にはその場でビバークしてもらってますので、次回にはツェルトなどお持ちください。」
「はぁ。。」
ポカーン( ゚д゚)と聞いていると、すかさず「そういった必要のないように登るのが大事なんです。」
「はい。」
「それと、下りは技術です。度胸じゃありませんからね。」と、そこで初めて自分が被っていたキャップがどんなだったか思い出したのでした(笑)
もう!マジメに聞いてしまってました。(あ、大事な事ですものね(笑))
それにしても私が歩いていたの6時ですよ?車で夜を明かしたのかしら。。遭対協のイケメンスタッフ、ご苦労さまです。
だいぶ高度を稼いだ時のことです。
これから登る登山道から少しはずれた笹林の中から、藪漕ぎする音がしてきたんです。
鳥ではなく、手でかき分けている音。手を広げた範囲の笹の音からして、体型としては私より小さいだろうと推測。
(動物だ。。熊?!)
周りを見ても人間はわたし一人。
どうも藪の中の存在も、こちらに気がついたもよう。
そーっと引き返そうかとも思ったんです。 でもその前に正体を確認しとかないと、下ったとしてもいつまでも怖いじゃないですか。
亡霊かもしれないでしょ…ほら、山の浮かばれてない…もうバクバクでした。
(ちょうど新日本紀行でも妖怪してた。日本人の、得体の知れない物事の落とし込み方のひとつ)
この距離なら、仮に熊だったとしても 襲うつもりでないようだから、相手も無駄な接触は避けたいと思っているはず。
そこで、大きな大きなカシワデを 3✖️数回、打ちました。
身を潜めてます。
動物って本能的に女を甘く見てる というのを何年か前のテレビのニュースで見ました。日光のいろは坂でしたか野猿が土産物屋や駐車中の車からお菓子を奪ったり、
特に女性の白いレジ袋や手提げは狙われると。
なので相手にわたしが女だと気がつかれてはいけないと思い、声は出しませんでした。
普段から犬の散歩で野々宮さんでカシワデ打っているので自慢じゃないけど響くんです。
その笹から たまりかねて飛び出し樹木の枝に飛び移ったのは猿でした。
なんだ猿か。猿なら物分かり良さそう。同じ類人猿だしね。
バクバクも消えて、その猿にガン飛ばして先へ歩を進めました。
実は帰りにも猿がいました。
その時は倒木の上で何か食べてて相当な距離があり、お互いに気がつきました。
カシワデで場所を離れて行きました。
ちなみに笛を持っている事を思い出し、強めに吹いてみましたけど慣れてるのか全く反応なかったです。笛よりカシワデ。
お気づきの通り、写真がほとんどありません。
それは6月にゆうじんさんと登った三股を単独行で再現したいと思ったからです。〜後編に続く〜