エガクのブログ

絵を描く事と、山に登る事と、作業所に通うハンディのある長男と、夫と、東京に居る二男と…

サバイバル教室~ブッシュクラフトスピリッツに触れて~

友だちの末次さん(以降すえっち)が、ブッシュクラフトの講座を開いたのを知って 

もう一年になるでしょうか。

 

日本はここのところアウトドアレジャーブームで、スポーツショップやホームセンターでもテント、折りたたみのイス、BBQコンロなどの売り場を 一年を通して見かけるようになりました。

 

だけど日本の屋外活動=自然に親しむ活動ってあくまで『趣味のジャンル』であり、もっと下世話な表現を使うと『道楽』という位置づけで、

だからすえっちの『サバイバル教室』に興味は持ったものの、

参加するまでに時間を費やしたのは、

『屋外』を『アソぶ』のに お金払ってっていう抵抗感があった…

っていうのが 正直な気持ちでした。

 

ただ、私は今 自然豊かな(はずの)長野県在住ですが、出かけるというともう子育て世代でないこともあり、車で走るとか商業施設でショッピングくらいなのです。あとは本格的な登山で、

その中間がない。

すえっちのサバイバル教室の会場は松本の里山だと聞き、『公園』と銘打ってない場の 所有者のある里山の利用の仕方、入り方、マナー、そんなところを知ることが出来たら、この閉塞感が薄まっていくような期待を持ち、また四回すべて会場が違うというのも魅力で、

今回申し込みました。

 

 

それともう一点、『サバイバル教室』という名前にも抵抗がありました。

迷彩服を着て武器を持ち枯野の中で敵とみなした相手を倒す、ゲーム画面を実物で行うやつ。サバイバルゲームって言いますよね。

『サバイバル=生き残る』ですか?

 

名前を聞いた第一印象は そちらよりでした(笑)。

なんというか、マニアックで浮かれた印象と、先に述べた道楽の印象と。。

そりゃ払拭するのに一年くらいかかりますわね(笑)。

 

すえっちの『サバイバル教室』は、『生きる力を身につける』教室です。

 

 

ところがところが、そこにも 

しばらく抵抗がありました。(まだあるか!(笑) )

 

今さら火を起こしたりナイフ使えたりシェルターって…

日本のようなインフラ整った社会で生きていて 

改めてアウトドアレジャーの場以外にそういうこと必要ないんじゃないの? (と、

ここはあえて そう文章におこさせていただいたんですが)

 

答えは否!でした。

 

すえっちの講座は、最初に自然を感じる時間を取ります。

日差し、

風、

音、

におい

 

一回目の二月には霜柱があった時期で、空気がピリリとしていました。霜柱を手でつまんでみるとシャリンシャリンとキラキラ砕けていきました。

(冬枯れの二月)

 

二回目の三月、ひと月たつと光の種類が変わっていました。

強い風もずっと続くのではなく 

風のまとまりが通り過ぎると風の谷があり、

遠くから樹木の枝のしなる音が 次の風の塊が近づいてきていることを知らせます。その風の中で 鳥がさえずっています。

 

(すえっちインストラクターの張ったタープシェルターはピンとしているので目立たないかもしれませんが、風をブンブンに受けています)

 

 

ほんの五分でもいろんな発見があり、人それぞれの感じ方を聞くことで また新しい発見があります。

 

UVカットされたガラス越しの、

もしくはテレビやスマホ画面に映し出された絶景画像だけでは 日々の暮らしは自然と分断され、 

五感を総動員して自然を味わうことを 忘れていた気がしました。

 

だって日本の『アウトドア』って、『外で』『何かをする』んでしょう。BBQとか。

『外=自然そのもの』を『味わう』『慈しむ』『大切に思う』っていう『文化』にまで至っていない気がします。だけど、みんな気がつき始めているんですよね。

外で過ごす心地よさは何だろうって。

十分に準備された講座で、改めて身をもって感じてみると、自然に対する意識が変わってくるように思います。そんなスタート地点に立てる講座でした。

 

 

すえっちの講座は まだまだ作業に入ったりしません。

逆さ富士の絵を描くすえっち。

水鏡にくっきりと富士山が映るということは、静的なバランスが取れている状態です。

『ベースライン』というそうです。

人間が自然に分け入っていった時というのは波紋を作り、湖面の逆さ富士が消えた状態なのだと。

それはベースラインが乱されたことを意味し、野生動物や昆虫は異変を感じるのだそうです。身を潜め鳴くのをやめる。

 波紋をつくって侵入してきた人間が攻撃性のないことを見て 人間を受け入れたベースラインが出来上がりました。

 

さて、いよいよナイフを使ってのペグ作りです。

 

ペグに適した枝探しです。『ワイドアングルビジョン』で周囲に目を向けて見ていきます。

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(選んできた木や持参したナイフを すえっち先生は否定しません。作業開始でうまくいかないタイミングを見て「これくらいの太さでやってみ」「このモーラナイフを使っていいよ」等のアドバイスを入れてくれます)

 

 

日頃の人間の暮らしの中では

相手の目を見る、

スマホパソコンの画面を凝視する、

これを『トンネルビジョン』といいます。

人間の視野は思う以上に広いです。視野全体に気を配って 探すものや動きにアンテナを張る ワイドアングルビジョンで過ごすだけでも日常から離れられますよ。

 

 

すえっちはナイフの使い方を丁寧にレクチャーしていきます。

そしてナイフワークには名称がついていて それらを効率よく学べるのがペグ作りだということでした。

(知りたい方は、ぜひサバイバル教室受講を!)

 (借りたモーラナイフがあまりに使い心地が良くて、ついついピンピンに尖らせてしまいましたが、ペグをここまでする必要はありませんので、あしからず(笑) )

 

 そんなこんなをしているうちに、ワーク終了

 

 

春の強風は吹き続けていましたが、深い釜だったので火をつけました。

さすがブッシュクラフト、火の粉が舞い上がることなく いったん着けた火が消えることもなかったです。BBQで火おこしに四苦八苦したり着火剤頼りの方!

あの着火の知識と妙を目の当たりにするだけでも 受講の価値ありです!

 

(着火前のこの組みかたがポイントね)

 

(灰が舞い上がることもなく)

 

いろいろ焼いて話を楽しんで、心地よい時間でした。

 

 

あー楽しかったし良い時間を過ごしました。一か月後の次回が楽しみです。

 

「今日は何してきたの?」と聞かれれば、

「うーんと、、ナイフでペグ作った」💦

てことになるんですが(笑)💦💦 学びも多く実の濃い時間を過ごせますよ。